富士山をバックに立ち上る湯気が、富士の湧水に清められて白く輝くパルプを連想させる。かつては3交代フル稼働で眠らなかった製紙工場たちも、静けさを保っている。殊に夜はすっかり静かになった。元々、温厚で純朴な住人の人柄。コロナ騒動による国の指導にも率先して従い、自粛癖が街を支配して久しい。もうあの頃の活気が戻ることは無いのか？

古くから製紙業で働く人々の足として、また富士山麓に根差した住人の足として、タクシーを走らせてきたトンボタクシー。業界に先駆けて変革してきたその会社の３代目経営者は、これまでにない変革を求められていることをひしひしと感じていた。